最も多くの患者さんが求める治療法

花粉症対策の基本は、マスクなどのセルフケアと、メディカル・ケアの両方を、生活の両輪として、毎日行うことです。年々症状がひどくなる人の多くは、この二つの対象のどちらか(あるいは両方)の手を抜いている人で、そのうち市販薬では間に合わなくなるかもしれません。

花粉症の症状は、内容も強さも一人一人違い、年ごとでも違います。スギ花粉が典型で、花粉の飛散量が年ごとに異なるからです。その中でも変わらないのは、どんなに花粉が飛ぶ時期でも、私たちは仕事や学業という社会生活を滞りなく営まなくてはならないという厳然たる事実です。

だから、医師が治療に際してまず考えなくてはならないのは、鼻水など花粉症の症状を抑えるだけでなく、数多くの選択肢の中から、患者さん一人一人の生活と病気の内容に沿った治療法を選択し、治療中も生活の質 (クォリティ・オブ・ライフ)を下げずに、患者さんの要求に応えることです。

花粉症を根治する治療法として勧めるのは、次章で話す「アレルゲン免疫療法」ですが、向き不向きもあって、患者全員に勧めるものではありません。多くの患者からもっとも求められているのは、ひどい症状を抑えて、少しでも快適に生活できるための対症療法(メディカル・ケア)です。

手段として、クスリと手術があります。手術を考えるのは際づまりがとくにひどく、鼻中隔響曲症とか肥厚性鼻炎、副泉腔炎などの鼻の「形態異常」や「病気」があって、症状をひどくしていると考えられる場合ですから、中心は何といってもクスリを使う薬物療法になります。

クスリには経口薬(のみぐすり)のほか、口の中ですぐ溶けて水がいらない口腔内崩壊錠や、ドライシロップもあります。泉に吹きつける噴霧薬や、目にさす点眼薬もあります。

これらはどれを使っても基本的には症状を軽くする対症療法で、花粉症を根本的に治すものではありませんから、花粉症は治らないというイメージが定着したのですし、病院にいかずに市販薬で間に合わせようという空気も強いのです。しかし、この先もずっと、スギ花粉が飛ぶ2〜4月を、鼻水とくしゃみと鼻づまりで苦しみながら送り続けてもいいのでしょうか。

もちろん、花粉症は死ぬ病気ではありません。そこで大事なのは、自分たちがどう治そうか、どのように花粉症と向き合っていくかということ、難しくいうと治療哲学です。

鼻水、くしゃみ、鼻づまりという花粉症の症状は、どれも花粉を体外に出したり、体内に入れないようにするために起こったアレルギー反応です。そして、周りの花粉症の患者さんをご覧になっておわかりのように、鼻水やくしゃみがひどい「くしゃみ・鼻水型」の人と、鼻づまりが主な「鼻づまり(鼻閉) 型」の人、その両方がひどくて悩んでいる「充全型」の人など、患者さんによって、苦しみや悩みの内容と程度が違います。

治療の基本となる花粉症診療ガイドラインでも、症状内容と、重症度に応じて使うクスリの組み合わせを工夫することを勧めていて、とくに毎年激しい症状で悩んでいる患者さんには、病院での「初期療法」を勧めています。そして「初期療法」に引き続いて、鼻や眼の残っている症状に合わせたクスリをのんだり、塗ったり、噴霧したりという治療(「維持

療法」といいます)をきちんと追加すれば、私の印象では7〜8割くらいの方が、花粉症の症状にほとんど苦しむことなく、しかも副作用に苦しんだり生活の質を落とすこともなく、花粉のシーズンを過ごすことができます。

この「初期療法」が、今の花粉症治療の基本です。

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